フィールドサービスにはクレームが付き物です。
しかし、クレーム対応をおろそかにすると、顧客に製品を利用してもらえなくなるおそれがあるので、しっかりとした対応をする必要があります。
そこでこの記事では、フィールドサービスにおけるクレーム対応の重要性と講じられる対応策を紹介します。
フィールドサービスを展開する企業の経営者様は、ぜひ参考にしてみてください。
フィールドサービスにおけるクレーム対応の重要性
目次
フィールドサービスの役割は、営業が販売した製品のアフターメンテナンスを実施することです。
製品の保守や管理、故障時の修理対応、定期的なメンテナンスの実施など、フィールドサービスが対応しなくてはならない領域は多岐に渡ります。
ただし、ときには顧客からクレームが発生することがあります。
クレームが発生するタイミングは、システムの稼働が上手くいかないとき、あるいはフィールドサービスの品質が悪かったときなどさまざまです。
顧客にとっては、扱うシステムや機器が上手く機能しているかどうかが非常に重要です。
たとえば、顧客管理システムのようなITシステムがオンタイム中に稼働しないと、社内すべての従業員がシステムを利用できなくなるため、業務に支障をきたします。
そのため、業務を円滑に進められないほか、その企業の顧客に対しても迷惑をかけることになってしまうのです。
または、システムの不具合によって顧客の工場が止まるといった問題が起きると、全体の生産スケジュールが遅延し、売上が減少するおそれも考えられるでしょう。
そのため、システムを利用している企業にとっては、システムや機器がいかに安定して使用できるかが重要なのです。
そして、主にシステムのトラブルに関わるクレームに対応する人は、フィールドサービスを行う作業員となります。
作業員が行うメンテナンスの品質によって、顧客との関係値が左右されるでしょう。
メンテナンスの品質が悪いと、最悪の場合は保守契約の解消や、製品の解約につながってしまうことが考えられます。
そのため、作業員はしっかりとクレーム対応に向き合い、適切な処置を施すことが重要なのです。
フィールドサービスにおけるクレーム対応の難しさ
フィールドサービスにおけるクレーム対応は重要だとはいえ、実際の対応はそう簡単にいくものではありません。
その理由は2つあります。
理由①高度な作業スキルや知識が求められることがあるため
顧客から解決を求められるトラブルの内容によっては、高度な作業スキルや知識を要することがあります。
たとえば、熟練作業員ではないと解決できないようなものや、ITに関する専門知識がないと解決できないようなものなどが考えられるでしょう。
クレームがきたときに、トラブルの内容に応じた最適な作業員をアサインできれば問題ありませんが、必ずしも最適な人材を派遣できるとは限りません。
また、作業員が対応してみても技術不足で解決できず、再度別の日程で熟練作業員を派遣させる必要性が生じるといったことも起こりえます。
そうすると、さらなるクレームにつながってしまうことも考えられるでしょう。
そのため、フィールドサービスを行う企業はトラブルの内容に応じた最適な作業員をアサインすることや、初回訪問で解決するための工夫を行う必要があります。
理由②夜間・休日でも出動しなければならない場合があるため
夜間・休日でも出動しなければならない場合があることも、クレーム対応が難しい理由の1つです。
企業によって働く時間や曜日は異なるので、フィールドサービスを行う企業と製品を導入している企業の働く時間や曜日も違うでしょう。
土日休みの企業もあれば、土日出勤がある企業も存在します。
そのため、フィールドサービスにおいては夜間・休日であるにもかかわらず、顧客からのトラブル対応を求められることも少なくありません。
保守契約でサービスを提供できる時間が決められている場合、大抵は問題ありませんが、顧客のなかには無理をいって対応を求めてくることもあります。
そういったクレームに対しても適切な対応をする必要があることが、フィールドサービスの現場の悩みでもあり、難しさであるともいえるでしょう。
フィールドサービスのクレーム対応の品質を向上させるための対応策
フィールドサービスにおいてはトラブル内容に応じた最適な作業員をアサインすることや、初回訪問で解決するための工夫をする必要があります。
工夫を施すことで、顧客からのクレームを減らすことができ、結果としてクレーム対応の品質を向上することにつながります。
しかし、どのような工夫をすれば、クレーム対応の品質を向上できるのでしょうか。
結論から申し上げますと、それは業務のDX化による生産性向上と業務効率化によって実現できます。
なお、DX化とはITシステムや機器を取り入れることで業務を改善することです。
DX化を推進するメリットについてはこちらの記事『【フィールドサービス】DX化とは?推進する6つメリットと障壁 』で詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。
具体的な対応策としては、アサイン業務を効率化すること、そして遠隔作業支援システムを取り入れることの2点が挙げられます。
以下に、それぞれの対応策について詳しく解説します。
対応策①アサイン業務を効率化する
1つ目の対応策は、作業員のアサインを効率化することですが、これは社内のシステムをクラウド型に移行することで実現できます。
これにより、高度な作業スキルや知識が求められることがある現場においても、最適な作業員をアサインできるようになるでしょう。
フィールドサービスを展開する企業のなかにはオンプレミス、つまりは自前のネットワークを用いたシステムを利用しているところもあります。
しかし、オンプレミスのシステムを使っている場合は、社内からシステムにアクセスしなければ顧客ステータスやスケジュールを更新できません。
そのため、外出先で顧客ステータスやスケジュールを更新する必要性が出てきても、一度社内に戻ってからではないと更新は不可能です。
つまり、顧客ステータスやスケジュールがリアルタイムの情報ではないために、作業員やコールセンターは最新の情報をキャッチするために時間がかってしまうのです。
こういった非効的率な業務フローはオンプレミスからクラウド型のシステムに移行することで改善できます。
クラウド型のシステムだと、いつどこからでも必要な情報を閲覧したり編集できたりするので、常にリアルタイムの情報を得られるのです。
これにより、コールセンターは作業員のリアルタイムのスケジュールを把握できるようになります。
高度な作業スキルや知識が求められるときに最適な作業員をアサインできないという問題は、リアルタイムのスケジュールを追えていなかったということに起因します。
しかし、リアルタイムのスケジュールを把握することにより、その時々に最適な作業員をアサインできるようになるのです。
アサイン業務の効率化が実現できたあかつきには、最適な作業員をよりスピーディに派遣できるようになるので、顧客からのクレームも減らせられることが期待できます。
対応策②遠隔作業支援システムを取り入れる
遠隔作業支援システムを取り入れることも、クレームを減らすための対応策として考えられます。
現状のフィールドサービスにおいて、初回訪問でトラブル対応ができなかったという場合は、再度別の日程で熟練作業員を派遣することになるという問題があります。
しかし、顧客は初回訪問でトラブルを解決してもらうことを望んでいるため、問題の解決が先送りになってしまうことは、当然としてネガティブに捉えられるでしょう。
これがクレームに発展し、顧客との関係値を悪化させることも往々にして考えられます。
こういった問題を回避するためにできる対応策こそが、遠隔作業支援システムを取り入れることです。
遠隔作業支援システムとは、離れた場所にいても作業員を支援できるシステムです。
一般的には、スマートグラスと呼ばれる眼鏡型の端末を使うことで利用できます。
作業員がスマートグラスをかけながら作業をすると、社内にいる熟練作業員と見ているものを共有できます。
そのため、作業員はわからないことがあっても、熟練作業員から指示を受けながら作業を進められるのです。
スマートグラスがあることで、熟練作業員は直接現場に赴く必要がなくなるので、社内から複数の現場を管理できるようになります。
したがって、スマートグラスを用いた遠隔作業支援システムを取り入れると、初回訪問でトラブルを解決できる可能性が高まるといえるでしょう。
これにより、クレームの件数を減らせると期待できます。
フィールドサービスのクレーム対応で求められる作業員のスキル
フィールドサービスで発生するクレームに関しては、企業全体の業務改善によってその対応力を高められます。
しかし、個々の作業員の対応力を上げることも不可欠だといえるでしょう。
いくら企業としてクレーム対応への体制を整えても、クレーム対応の成否は個々の作業員に委ねられます。
ここからは、フィールドサービスのクレーム対応で求められる作業員のスキルを2つ紹介します。
スキル①臨機応変の対応力
現場によっては作業しにくい場所に製品が置かれてあったり、訪問先の稼働時間などの都合によって作業時間を制限されたりすることが往々にしてあります。
また、作業にあたって必要な情報を十分にヒアリングできなかったり、物品が揃わなかったりする状況にあっても、最大限の対応をすることが求められます。
上記のようなイレギュラーな状況においても、顧客に対しては平常心で接し、臨機応変に対応できる力が必要です。
スキル②コミュニケーション能力・ヒアリング能力
作業員は現場の作業を行うにあたっては、顧客からのヒアリングだけではなく、想定されるトラブルの原因や対処方法、復旧時期の見込みなどの説明も行います。
このとき、顧客にしっかりと状況を説明し、顧客を安心させられるコミュニケーション能力が求められます。
また、顧客に対して説明をするときには、単に専門用語を並べるのではなくわかりやすい言葉に言い換えて説明することも重要です。
そして、顧客がトラブルによって気分を損ねている場合でも、聞かなくてはならないことを聞かなければ円滑な作業ができません。
こういったときにも、しっかりと必要な情報を引き出し、理解するヒアリング能力が必要です。
フィールドサービスを依頼する顧客は不安な気持ちを持っていることが多いです。
そのため、しっかりと顧客に寄り添いながら、顧客とともに課題解決をするためのコミュニケーション能力・ヒアリング能力が求められます。
フィールドサービスのクレームへの対応力は企業のDX化によって高められる
いかがでしたでしょうか。
フィールドサービスにはクレームが付き物ですが、クレーム対応をおろそかにすると、顧客がシステムを利用してくれなくなるおそれがあるため、万全な対応力が求められます。
個々の作業員がクレームへの対応力を磨くことはもちろんのこと、企業全体としてクレームの件数を減らす努力をすることも重要です。
そのためには、アサイン業務を効率化することと、遠隔作業支援システムを取り入れることが有効です。
DX化を進めることでこれらを実現し、クレームを1件でも減らせるようにしましょう。
株式会社シーエスワンはフィールドサービスのDX化を支援しています。
クレームへの対応力を高めたい企業様は、ぜひご相談ください。