フィールドサービス業務は、保守・点検・修理といった現場対応を伴う業務であり、その特性上、現場ごとの判断や対応に依存しやすく、属人化しやすいという構造的な課題を抱えています。この属人化は、作業の質のばらつきや情報共有の不備、業務効率の低下といった問題を引き起こし、結果として企業全体の生産性を損ないます。
さらに、一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会の調査(こちら「2024年ユーザ企業のIT投資・活用の最新同行」)によれば、日本の企業においてITツールを導入していない課題として「人材・スキルの不足」(79.9%)や「費用対効果が不明」(32.2%)などが挙げられており、多くの企業が変革に踏み出せない現状があります。しかし、近年ではクラウドベースのフィールドサービス管理(FSM)システムが進化し、導入のハードルは下がっています。
本お役立ち情報では、フィールドサービスにおける属人化の具体的な課題を明らかにし、CSOneというクラウドベースのFSMシステムの導入がいかにして業務を標準化・効率化し、生産性を高めるのかを解説しますします。

フィールドサービス業務の属人化の課題とその解決策

課題1. 案件進捗の共有が不十分

多くの現場では、作業報告書などの帳票を依然として紙ベースで記録しており、作業内容や進捗が関係者に共有されていない状況があります。結果として、管理者は現場の進行状況を現場のサービスマンに都度確認する必要があり、手間や対応の遅延が常態化します。たとえば、報告作成に平均30分の手書き作業が必要で、作業員数が100名規模だとした場合、合計で年間約12,000時間*が記録業務に費やされていることになります (*営業日が240日存在し、毎日30分報告書を作成する時間がかかる想定)。
紙ベースでの報告や口頭伝達に依存した業務運用では、情報の伝達漏れや遅延が頻発する可能性が高く、現場の進捗を本部で把握できない、対応遅れが発生する、顧客満足度が低下するなどのリスクが高まります。


CSOneでは、スマートフォンやタブレットを活用して、現場作業員がその場でリアルタイムに作業報告を行うことが可能で、かつお客様から電子サインを受領することもできます。報告内容はクラウド上で管理されているため、即座に管理者・お客様と共有することができ、進捗状況を管理画面で一目で把握できます。このリアルタイムの共有により、管理者は現場の対応状況を逐一把握し、万一の遅延やトラブルにも即座に対応可能です。紙での報告や日報の取りまとめを待つ必要がなくなることで、意思決定のスピードは飛躍的に向上します。
現場では、作業内容の詳細やチェックリストなどをその場で記録でき、作業後すぐに報告書が完成します。さらに、電子サイン機能により、訪問完了の証跡が即時に記録され、トラブルの抑止にもつながります。こうした一連の仕組みによって、業務の可視化・標準化が進み、担当者に依存せずとも同水準のサービス提供が実現できます。結果として、顧客満足度の向上と、現場作業の効率化を同時に達成することが可能になります。

課題2. 顧客情報や対応履歴の管理不足

フィールドサービスにおいては、顧客ごとの対応履歴や設備情報などのデータを適切に蓄積・活用することが、安定したサービス提供に直結します。しかし、情報が担当者のローカルPCや紙資料に分散している場合、必要なときに過去情報にアクセスできず、トラブル対応の質が低下する恐れがあります。現場での対応内容が個人の経験に頼っていると、特定の社員が不在の際に対応が遅れたり、二重対応や確認ミスが発生するリスクが高まります。たとえば、保守契約の範囲外であるにもかかわらず、履歴情報の確認が不十分なまま対応してしまい、工数・コストの無駄や顧客トラブルの原因になることもあります。また、新人スタッフへの教育や引き継ぎにおいても、対応履歴が参照できなければ、教育の効率が悪化し、習熟度の格差が広がることになります。


CSOneは、顧客情報や機器情報、過去の対応履歴、資料などをクラウド上で一元管理します。フィールドサービスに特化したインターフェースにより、検索性や操作性が高く、現場サービスマンや管理者が必要な情報を瞬時に引き出すことが可能です。お客様の機器ごとにやり取りが紐付けられることで、過去の対応状況を正確に把握しながら、再発防止策を検討したり、顧客ごとのニーズに沿った対応を行うことができるようになります。また、各工程の詳細なログを残すことができるので、監査やクレーム時のエビデンスとしても非常に有効です。
このように情報を会社としてクラウド上で管理するからこそ、特定の担当者に依存せず、誰が引き継いでもスムーズに業務を継続できるようになります。担当者の退職や長期不在時にも、過去の履歴に基づいた判断が可能であり、対応の抜け漏れや質のばらつきを最小限に抑えることができます。これにより、フィールド業務全体の再現性が高まり、サービス品質が組織レベルで均質化されるようになります。このように、CSOneによるクラウドベースの情報管理は、属人化に陥りやすいフィールド業務の標準化と、組織的なナレッジの蓄積を可能にし、サービス品質と業務効率を両立させる基盤となります。

課題3. 担当者に依存した非効率なスケジューリング

訪問日程の調整やサービスマンの割り当てを紙やExcelで行っている場合、対応漏れやダブルブッキング、移動時間の非効率などが起こりやすく、全体としての稼働効率が大幅に低下します。特に、案件数や作業員数が多い企業では、スケジューリングだけで業務時間の大半を占めることもあります。弊社の調査では、システムを利用していないスケジューリング作業の場合、その作業に480時間*もの工数がかかっていることがわかっています(*100人のサービスマンを管理し、2000件/月の案件が存在する場合)。さらには、一旦スケジューリングが完了しても、お客様からの急な予定変更に対して、スケジューリング作業を人に頼っている場合、スピーディかつ柔軟に対応ができないといった問題も生じます。


CSOneでは、現場サービスマンの位置情報・前後の予定・スキルなど複数の要素を考慮して、最適な人選及びスケジュールをシステムが自動で提案します。これにより、スケジューリング作業時間やサービスマンの移動距離が大幅改善され、訪問件数の最大化と対応のスピードアップが実現できます。また、カレンダー形式の画面で視覚的にスケジュールを管理できるため、管理者やサービスマンの負担も軽減されます。

導入事例:ライフホーム株式会社

住宅設備機器の販売・施工・メンテナンスを行っているライフホーム株式会社では、紙での報告書作成やExcelでの顧客情報管理により、作業の進捗確認や情報共有が担当者依存になっていました。CSOne導入により、作業報告や顧客情報がクラウド上で一元化され、検索・管理が即座に可能に。スケジュール調整の効率も劇的に向上し、属人化からの脱却を実現しました。
結果として、業務全体の生産性向上と再現性のあるオペレーション体制を構築しています。
詳細の事例はこちらをご確認ください。



まとめ

フィールドサービス業務の属人化は、情報の断絶や判断の個人依存を生み出し、結果として現場の柔軟性と生産性を損ないます。進捗が共有されず、顧客情報は点在し、スケジューリングは属人的な経験則に依存してしまう。こういった状態では、いかに優れた人材がいても組織としての一貫したパフォーマンスを発揮するのは困難です。
CSOneは、案件進捗・顧客情報・対応履歴・スケジューリングといったフィールドサービス業務の基本的かつ重要な要素を見える化・標準化し、業務の属人性をシステムの力で改善します。これにより、誰が担当しても一定水準の業務遂行が可能となり、品質の安定化と生産性向上を実現できます。また、情報が一元化されることで、業務改善のPDCAサイクルを回しやすくなり、組織としての持続的な成長にもつながります。
少しでも興味・関心をお持ちになった場合は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。御社の業務内容や課題に応じた最適な導入プランをご提案させていただきます。

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