フィールドサービス管理(FSM)とは

フィールドサービス管理(Field Service Management、以下FSM)とは、企業が現場で行う保守・点検・修理・設置・アフターサービスなどの業務を管理・最適化するための仕組みのことです。クライアントからの依頼受付、現場サービスマンのスケジューリング、部品や在庫の管理、作業報告の記録、請求・入金処理といった一連の流れをシステムで一元化することで、属人化を防ぎ、作業効率と顧客満足度を同時に高めることができます。

従来の現場業務は、紙の報告書やExcel台帳に依存し、情報の分断や二重入力、点検漏れといった課題が発生しやすいものでした。FSMを導入することで、現場の見える化・データ共有・自動化が実現し、作業スピードの向上と人的ミスの削減を両立できます。

また、近年はクラウド・モバイル・AI・IoTといったテクノロジーの進化により、FSMは単なる管理ツールではなく、「経営レベルで現場を最適化する戦略システム」へと進化しています。現場で得られるデータをリアルタイムに活用することで、経営判断やサービス品質向上にもつながる点が、多くの企業で導入が進む理由です。

FSMの導入タイプは「構築・開発型」と「パッケージ型」の2種類

FSMの導入形態は、大きく分けて「構築・開発型」と「パッケージ型」の2つがあります。どちらが優れているというよりも、企業の業務特性や体制によって適したタイプが異なります。

構築・開発型は、クラウドを基盤としながらも、自社またはベンダーを通してシステムを一から設計・構築するタイプです。業務プロセスや管理項目を細かく定義できるため、現場の運用にぴったり合わせたカスタマイズが可能です。一方で、開発やメンテナンスにかかるリソース負担が大きく、機能追加や仕様変更のたびに費用・工期が発生します。さらに、設計者が退職・異動した場合には、システムの内部構造が把握しづらくなる「ブラックボックス化」リスクも存在します。

パッケージ型は、FSMに必要な機能があらかじめ実装されたパッケージを活用し、業務をそれに合わせて運用するタイプです。導入スピードが早く、初期コストも抑えられるのが特徴です。また、既存のパッケージを前提に業務を見直すことで、BPR(Business Process Reengineering:業務プロセス改革)を同時に進めやすく、現場に根付いた非効率な運用を見直すきっかけにもなります。必要な機能だけをシンプルに使うことで、システムが複雑化せず、運用の無駄を抑制できます。

最終的にどちらを選ぶかは、企業の規模、業務の複雑さ、内製体制の有無、そして求める柔軟性・スピード感によって異なります。どちらにも明確な利点があり、自社にとって「運用し続けられる形」を基準に選定することが重要です。

主要5サービスの比較

項目 Salesforce Microsoft Dynamics 365 Field Service IFS ServAir CSOne
導入タイプ 構築・開発型 ハイブリッド型(パッケージ型をベースにしつつ、開発によるカスタマイズも可能) パッケージ型(クラウド/オンプレミス) パッケージ型(オンプレミスがメイン) パッケージ型(クラウド)
導入期間目安 開発が必要なため比較的長めの傾向 開発が必要なため比較的長めの傾向 パッケージ型のため比較的短め パッケージ型のため比較的短め パッケージ型のため比較的短め
※300ユーザーレベルで4ヶ月、規模が小さければ1ヶ月導入も可能
初期費用 要お問い合わせ 要お問い合わせ 要お問い合わせ 要お問い合わせ 初期費用0円
月額費用 230ドル/ユーザー
※Fied Service Plusの場合(参照
15,742円/ユーザー
※Dynamics 365 Field Serviceの場合(参考
要お問い合わせ 要お問い合わせ 8,000円/ユーザー
※10ユーザー以上で割引あり
最低利用人数 要お問い合わせ 要お問い合わせ 要お問い合わせ 20ユーザー
参照
3ユーザー

 

各サービスの説明

Salesforce

Salesforce Field Serviceは、Salesforce CRMと統合された世界中で展開される現場管理システムです。作業指示、スケジュール管理、技術者の稼働状況の可視化、顧客資産の管理、モバイルでの作業報告など、現場に関わる一連の業務をクラウド上で統合します。Salesforceプラットフォーム上で動作するため、営業・サポート・マーケティングなど他の機能との連携性が高く、顧客対応全体を統合的に管理できるのが特長です。
(参照:Salesforce公式サイト

Microsoft Dynamics 365 Field Service

Microsoft Dynamics 365 Field Service は、現場サービス業務を最適化するためのクラウド型ソリューションです。作業指示、スケジュール管理、在庫・資産管理、顧客情報の統合を 1 つのプラットフォームで提供し、モバイルアプリを通じて現場技術者がリアルタイムで情報にアクセスできます。また、Microsoft 365 や Power Platform、Dynamics 365 の他モジュールと連携でき、サービス業務全体を統合的に管理できる点が特徴。コーディングなどの開発・構築を行うことでシステムのカスタマイズも可能です。
(参照:Microsoft Dynamics 365 Field Service公式サイト

IFS

IFS は、フィールドサービスのライフサイクル全体を一つのプラットフォーム上で管理できるソリューションです。計画立案、実施、分析のフェーズをつなぎ、技術者・部品・資産・契約情報を統合してリアルタイムに可視化します。サービスと資産の統合運用により、複数システムの“サイロ化”を排除し、コストと複雑性を削減しながら生産性を向上させることが可能です。
(参照:IFS公式サイト

ServAir

ServAirは、株式会社テクノアが開発したアフターサービス業務支援システムです。出張修理・定期点検・保守契約管理を中心に、販売・購買・在庫管理までを統合的に支援する国産パッケージです。 製造業や設備保守業での導入実績が多く、業種別テンプレートを活用して短期間での導入が可能とされています。
(参照:ServAir公式サイト

CSOne

CSOneは、株式会社シーエスワンが提供するクラウド型フィールドサービス管理システムです。「受付・スケジュール・作業報告・見積・請求・在庫管理」をワンプラットフォームで統合し、現場と本社間の情報連携をスムーズにします。特長は、パッケージ型 x クラウド完結による運用の軽さと、ユーザー自身が帳票や画面をノーコードでカスタマイズできる柔軟性です。さらに、AIを用いた自動ディスパッチ機能を備え、作業員のスキル・位置・シフトなどを考慮して最適な作業スケジュールを自動生成します。電子サイン対応、電帳法・インボイス制度対応など、国内の業務要件にも適した構成となっています。
(参考:CSOne公式サイト

CSOneが選ばれる5つの理由

  1. クラウド完結でIT保守不要

    CSOneは、システム全体をクラウド環境で提供しているため、サーバー構築・バージョンアップ・セキュリティ更新などの煩雑な保守作業が一切不要です。オンプレミス型システムでは、導入後もサーバーの維持費やOS更新、障害対応といった運用コストが継続的に発生しますが、CSOneはそれらを完全にクラウド側で担保します。また、ISO27001認証を取得したセキュリティ体制のもとでデータを管理しており、バックアップ・障害時の復旧体制も標準で備えています。これにより、企業のIT担当者は運用負荷から解放され、コア業務への集中が可能になります。

  2. 短期導入で即戦力化

    多くのFSMシステムは要件定義やカスタマイズに時間がかかり、導入完了まで半年〜1年を要するケースも少なくありません。一方、CSOneはパッケージ化されたテンプレートとモジュール構成を採用しており、小規模であれば最短1ヶ月で運用開始できるスピーディーな導入が可能です。現場業務の流れに沿って設計されているため、初期段階から「受付→スケジュール→作業報告→請求」までを一貫運用でき、導入直後から効果を実感しやすいのが特長です。

  3. 帳票・画面をノンプログラミングで自由設計

    CSOneでは、見積書・作業報告書・請求書などの帳票や、画面項目・入力フォームのレイアウトをノンプログラミングで自由に設計できます。従来のシステムでは、帳票の追加や修正を行うたびに開発ベンダーへの依頼と費用が発生しましたが、CSOneではユーザー自身が管理画面から設定を変更できるため、スピーディに現場の要望を反映できます。さらに、出力帳票はPDFやメール送信にも対応しており、電子サインとの連携で完全ペーパーレス運用を実現します。

  4. AI自動ディスパッチによる作業効率化

    CSOneの最大の特長のひとつが、AIを用いた自動ディスパッチ機能です。作業員の担当エリア、勤務シフト、移動距離、案件の優先度など複数の条件を同時に考慮し、最適なスケジュールをAIが自動で生成します。これにより、従来は人手で行っていたスケジュール調整やルート計画に費やす時間を大幅に削減でき、ディスパッチ業務の工数を最大95%削減した事例も報告されており、突発的な修理依頼にも即座に対応可能で、顧客への訪問スピードと満足度を高めることができます。

  5. 初期費用0円・3ユーザーから利用可能

    CSOneは初期費用が無料で、3ユーザーから利用できる柔軟な料金体系を採用しています。多くの企業が新しいシステム導入時に課題とする「初期投資の高さ」を排除し、少人数から段階的に拡張できるため、スモールスタートが容易です。また、利用ユーザー数に応じて月額料金を調整できるため、導入規模に合わせた最適なコストコントロールが可能です。

まとめ

フィールドサービス管理(FSM)は、現場業務の効率化だけでなく、企業全体のサービス品質向上にも直結する重要な基盤です。近年はクラウド化やAI活用が進み、各社のFSMソリューションは多様な機能と特徴を持つようになりました。Salesforce や Microsoft Dynamics、IFS のようなグローバル製品から、国内業務に寄り添った ServAir、クラウド完結で柔軟性の高い CSOne まで、選択肢は幅広く存在します。

どのシステムが最適かは、企業規模、業務プロセスの複雑さ、必要な機能、内製体制の有無によって異なります。本記事の比較を参考に、自社の現場業務や将来的な成長方針に最も合致するFSMを選定することで、現場DXを加速させ、サービス組織全体の生産性を大きく向上させることができます。ご自身の業務に最適な一手をぜひ検討してみてください。

今後、フィールドサービス業務の効率化・品質向上を目指す企業にとって、CSOneは欠かせないツールとなることをお約束します。御社の課題に沿った形で、ご提案させていただきますので、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。



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