フィールドサービス業務における点検作業は、顧客との保守契約を確実に履行し、設備の安定稼働を支える重要な業務です。しかし多くの現場では、点検業務が長年の慣習に依存したまま運用されており、点検漏れや契約不履行、過剰サービス、点検記録の未活用といった課題が顕在化しています。こうした問題は、現場担当者の努力だけでは解決できず、業務の設計そのものを見直す必要があります。
本記事では、フィールドサービスの点検作業で起こり得る3つの代表的な課題を整理したうえで、FSM(フィールドサービス管理)システムを導入することで、これらの課題をどのように解決できるのかを解説します。
1. フィールドサービスの点検作業で起こり得る3大課題とは?
目次
課題1:なぜ現場の点検作業では「点検漏れ」や「契約不履行」が起きるのか?
多くのフィールドサービス現場で、最初に顕在化しやすい課題が、定期点検の実施漏れやそれに伴う契約不履行です。本来、点検作業は保守契約に基づいて計画的に実施されるべきものですが、実際の現場では「今月は点検対象だったはずだが訪問できていなかった」「点検時期を失念していた」といった理由で、点検訪問が行われず、後日になって顧客から「点検に来ていない」と指摘を受けるケースが少なくありません。こうした事態は、顧客満足度の低下だけでなく、企業としての信頼性や契約継続にも影響を及ぼします。
また、同じ設備や機種を点検しているにもかかわらず、作業者によって確認内容や判断基準が異なり、点検品質にばらつきが生じることも多く見られます。経験豊富な作業者であれば問題なく対応できていた点検項目が、別の担当者に変わった途端に抜け落ちてしまうといったケースも発生しています。
これらの課題の根本原因は、点検予定を定めた保守契約情報が組織内で十分に共有・集約管理されていない点にあります。点検スケジュールがシステムで一元管理されておらず、担当者個人の記憶や経験に依存している運用では、担当変更や業務量の増加、突発対応が重なった際に点検漏れが発生しやすくなります。さらに、機種別や点検メニュー別に点検項目が整理・標準化されていない場合、「何をどこまで確認すべきか」が明確にならず、結果として作業者ごとの差が拡大してしまいます。
このように、点検漏れや契約不履行は、現場担当者の注意力や意識の問題ではありません。正しく点検を行い続けることが難しい業務構造そのものに原因があり、仕組みとして改善しない限り、同様の問題は繰り返し発生してしまうのです。
課題2:保守契約の内容を超えてサービス過剰となっていないか?
次に挙げられるのが、保守契約の範囲を超えたサービス対応、いわゆる「過剰サービス」の問題です。フィールドサービスの現場では、契約対象外の機種についてもその場の判断で保守対応してしまったり、本来は有償となるサービス時間外の作業を無償で対応してしまったりするケースが少なくありません。顧客の目線で見れば丁寧で親切な対応に映る一方で、企業側から見ると、こうした対応はサービス部門の負担を増やし、収益性を低下させる要因となります。
現場で過剰サービスが発生しやすい背景には、作業者が「契約内かどうか」をその場で判断できない状況があります。顧客から急な依頼や相談を受けた際、契約内容をすぐに確認できなければ、現場担当者は顧客満足を優先し、「とりあえず対応する」という判断を取りがちです。特に、長年取引のある顧客や重要顧客の場合、契約外であることを理由に対応を断る心理的ハードルは高くなります。
こうした判断が繰り返される根本原因は、保守契約情報がデータとして整理・管理されておらず、現場で即座に参照できない点にあります。サービスレベルアグリーメントの内容や保守対象機種、対応時間帯といった情報が明確に共有されていない状態では、現場担当者が正確な判断を下すことは困難です。その結果、契約外対応が常態化し、「気づいたときには無償対応が当たり前になっている」という状況に陥ってしまいます。
過剰サービスは顧客満足度を高めているように見えながら、実際にはサービス部門の工数増加や利益率の悪化を招き、経営にとって見えにくい損失を生み出します。この問題を解決するためには、現場の意識改革だけでなく、契約内容を誰もが正しく確認できる仕組みを整えることが不可欠です。
課題3:点検記録を適切に管理できているか?
3つ目の課題は、点検記録が十分に管理・活用されていない点です。フィールドサービスの現場では、顧客から過去の点検内容や対応履歴について問い合わせを受けた際に、必要な情報をすぐに検索できず、確認に時間がかかってしまうケースが多く見られます。また、実際の点検作業においても、現場で前回点検の内容や注意点を即座に確認できないため、同じ確認作業を最初からやり直している場面も少なくありません。
こうした状況が生じる主な原因は、点検や作業報告が紙やExcelといったアナログな手段に依存していることにあります。点検記録がファイルや台帳、担当者ごとのExcelに分散して保存されていると、情報を探すだけでも時間がかかり、検索性も著しく低下します。その結果、せっかく過去に蓄積された点検記録が、日々の業務の中で活かされないまま放置されてしまいます。
点検記録が活用されない状態が続くと、同じ設備について毎回同様の確認や調査を繰り返すことになり、業務効率が低下するだけでなく、対応品質のばらつきも生じやすくなります。特に、経験の浅い作業者の場合、過去の対応履歴を参照できないことで、判断に迷ったり、必要以上に時間を要したりするケースが増えてしまいます。その結果、特定のベテラン作業者に業務や判断が集中し、組織全体としての属人化が進んでしまうのです。
点検記録は、本来であれば現場の経験やノウハウを組織に蓄積するための重要な資産です。それが適切に管理されていない状態では、現場の負担が増えるだけでなく、サービス品質の安定化や人材育成の面でも大きな課題を抱えることになります。この問題を解決するためには、点検記録を「残す」だけでなく、「いつでも使える形」で管理・活用できる仕組みを整えることが不可欠です。
2. FSMシステム導入で実現できる、点検作業の根本的な改善策は?
これまで見てきたように、フィールドサービスの点検作業には、「点検漏れ・契約不履行」「契約を超えた過剰サービス」「点検記録の未活用」という三つの大きな課題が存在します。これらはいずれも、現場担当者の意識や努力だけで解決できる問題ではなく、業務の設計そのものに起因する構造的な課題です。こうした課題を同時に、かつ継続的に解決する手段として有効なのが、FSM(フィールドサービス管理)システムの導入です。
FSMシステムを活用する最大のポイントは、点検作業を個々の現場対応として捉えるのではなく、「保守契約を起点とした業務プロセス」として再設計できる点にあります。
まず、課題1で挙げた点検漏れや契約不履行に対しては、保守契約の内容に基づいて点検計画や点検項目を自動的に作成・管理できる点が大きな効果を発揮します。点検対象となる設備や点検頻度、実施時期がシステム上で明確に管理されることで、点検スケジュールが担当者の記憶や経験に依存することがなくなり、点検漏れを構造的に防ぐことが可能になります。また、機種別・点検メニュー別に点検項目を定義することで、誰が対応しても同じ基準で点検を行えるようになり、点検品質のばらつきも抑制できます。
次に、課題2である過剰サービスへの対策として重要なのが、契約データの一元管理と現場での即時確認です。FSMシステムでは、保守契約の内容やサービスレベルアグリーメント、保守対象機種、対応条件といった情報をデータとして集約し、関係者全員が同じ情報を参照できる状態を作ることができます。これにより、現場担当者は作業前や顧客からの依頼時に、その対応が契約内かどうかをその場で確認できるようになります。結果として、「よく分からないからとりあえず対応する」といった判断を減らし、契約外対応や無償対応の常態化を防ぐことができます。これは、現場の判断を縛るためではなく、正しい判断を安心して下せる環境を整えるための仕組みだと言えるでしょう。
さらに、課題3である点検記録の未活用に対しては、作業報告書の電子化が大きな役割を果たします。FSMシステムを通じて点検結果を現場で入力することで、報告書はそのままデータとして蓄積され、検索や再利用が可能になります。これにより、過去の点検履歴や対応内容を簡単に参照できるようになり、顧客からの問い合わせ対応や次回点検時の事前確認がスムーズになります。点検記録は単なる報告のための書類ではなく、現場の知見や経験を組織全体で共有するための重要な業務資産へと変わります。
このようにFSMシステムの導入は、個別の業務効率化にとどまらず、点検作業全体の在り方を見直すための基盤となります。保守契約を起点に点検計画を設計し、契約情報を誰もが確認できる形で管理し、点検記録を活用できるデータとして蓄積する。こうした仕組みを整えることで、点検作業は「人が頑張って回す業務」から、「正しい点検が自然に行われる業務プロセス」へと進化していくのです。
3. CSOneが点検作業の効率化で選ばれる理由とは?
FSMシステムによって、点検作業を「保守契約起点 × 仕組み化 × 電子化」という形で再設計できることは理解できても、実際にどのシステムを選ぶべきかは別の問題です。点検業務は、企業ごとに契約形態や設備構成、現場の運用ルールが異なるため、単に機能が揃っているだけでは十分とは言えません。こうした中で、点検作業の効率化という観点から多くの企業に選ばれているのが CSOne です。
CSOneが評価されている最大の理由の1つは、点検業務を単独の作業として切り出すのではなく、「保守契約から点検、報告、その後の業務までを一連の流れとしてシームレスに設計できる」点にあります。まず、保守契約を起点として点検計画や点検チェックリストを自動的に生成できるため、点検漏れや契約不履行を構造的に防ぐことが可能です。契約内容に基づいて点検対象や頻度、確認項目が定義されるため、担当者の記憶や経験に依存することなく、誰が対応しても同じ基準で点検を実施できる環境が整います。
また、CSOneでは保守契約情報や点検条件をシステム上で一元管理できるため、現場担当者も作業前や顧客からの依頼時に、契約内容を即座に確認できます。これにより、契約対象外の機種や作業を無意識に対応してしまうといった過剰サービスを防ぎやすくなります。重要なのは、現場を縛るための仕組みではなく、「正しい判断を安心して行える状態」を作れる点です。契約内容が見える化されていることで、現場担当者は顧客に対しても根拠を持って説明でき、不要な無償対応を減らすことにつながります。
さらに、CSOneは作業報告書の電子化にも強みを持っています。点検結果をモバイル端末から入力することで、報告書はそのままデータとして蓄積され、検索や再利用が可能になります。これにより、点検記録は単なる報告義務を果たすための書類ではなく、次回点検の事前確認や顧客からの問い合わせ対応に活用できる実務的な情報資産へと変わります。過去の点検履歴や対応内容をすぐに参照できることで、現場の判断スピードと対応品質の向上が期待できます。
加えて、CSOneは点検業務だけで完結せず、その後の業務までを見据えた設計がされている点も特長です。点検結果が履歴として蓄積されることで、次回点検や保全計画の立案、さらには請求業務などの次工程にもスムーズにつなげることができます。これにより、点検作業が単発の業務ではなく、フィールドサービス全体を支える基盤として機能するようになります。
このようにCSOneが選ばれている背景には、点検作業を「現場任せの作業」から「契約に基づいて正しく回る業務プロセス」へと変える思想があります。単に点検を管理するツールではなく、保守契約・点検・報告・次工程までを一貫して設計できることが、CSOneが点検作業の効率化で評価されている理由だと言えるでしょう。
4. まとめ
現場の点検作業で発生する点検漏れや契約不履行、過剰サービス、点検記録の未活用といった課題は、いずれも現場担当者の努力不足によって起きているわけではありません。その多くは、保守契約と点検業務が分断され、業務が属人的に運用されているという構造的な問題に起因しています。
点検作業を効率化するためには、保守契約を起点に点検計画や点検項目を設計し、契約情報を誰もが確認できる形で管理し、作業報告を電子化して記録を活用できる状態を作ることが不可欠です。こうした「仕組み化」と「電子化」によって、正しい点検が無理なく、継続的に実行できる業務環境が整います。
FSMシステムは、そのための有効な手段の一つであり、なかでも CSOne は、保守契約から点検、報告、次工程までを一連の流れとして設計できる点で、多くのフィールドサービス現場に選ばれています。実際に、CSOneはASPICクラウドアワード 基幹業務系システムイノベーションアワードを2020年・2023年に受賞しています。
点検業務の効率化や、現場運用の見直しを目指す企業にとって、CSOneは欠かせないパートナーとなることをお約束します。御社の課題に沿った形で、ご提案させていただきますので、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。









