東洋産業株式会社は、電機・機械の点検、保守、修理、改造等サービスエンジニアリングを行う企業です。1970年12月、東洋電機製造株式会社本社内にて東洋電機製造の産業機械関連サービス会社として創業しました。現在国内に3か所の拠点を構え、日本全国でサービスを展開しております。
 同社は、販売管理、仕入・在庫管理、原価・予実管理、フィールドサービスなどの基幹業務領域を対象としたシステムリプレースを検討しておりましたが、この度、新基幹業務システムとしてCSOne/PMOne(以下総称して「CSOne」といいます。)を導入いたしました。

安心安全なシステム運用

 既存の基幹システムは20年以上前に自社開発されたレガシーシステムであり、システムがブラックボックス化しておりました。そのため、システム運用に負荷がかかっており、また、データベースバージョンの制約などからサーバーOSのバージョンアップが困難な状況にありました。
 そこで、クラウドシステムであるCSOneへのリプレースにより、ブラックボックス化したレガシーシステムからの脱却を図りました。CSOneでは、サーバー等のバージョンアップや専門チームによるセキュリテイ対策が標準サービスとして提供されるため、安心安全なシステム運用が可能となりました。
 また、CSOne導入に合わせて、業務・システムの標準化・可視化を行うことで、変化対応力の高い仕組みを構築することができました。

営業活動におけるあらゆる対応履歴をサービス履歴と合わせて集約(SFA)

 同社では、営業による顧客とのコンタクト履歴は属人的に管理されており、案件化した際の見積書やその進捗状況についても部門ごとにExcel管理されておりました。
 CSOneにおいては、営業による顧客との接点情報から案件・見積・受注に至るまでの営業活動におけるあらゆる対応履歴を会社全体の共有資産として集約し、サービス担当による当該顧客に対するサービス履歴と合わせてシステムに一元管理します。
 営業やサービス担当は営業・サービスを実施するにあたり、CSOneを通してお互いの対応履歴にスムーズにアクセスすることによって、同一顧客に関するお互いの対応履歴や他顧客に関する類似の対応履歴を有効活用できるのに加え、両者の連携やコミュニケーションの強化が期待されることから、会社全体としての営業力・サービス力、組織力の底上げを図ることができます。

徹底した予実管理

 サービスエンジニアリング業務を行うにあたっては、材料費、労務費、外注費、旅費・経費など様々な費用の発生が伴います。同社では、点検、修理、部品販売などのすべての工事区分を対象に、これらの費目ごとに個々の案件単位で予実管理を行っております。
 CSOneにおいては、標準機能であるジョブを使用した予実集計により、同社の徹底した予実管理を実現しました。CSOneの予実対比表にて、案件ごとの予実や収支の状況がひと目で把握可能となります。
 なお、各案件にて発生した実績費用について、工事が完成するまでは仕掛品として計上するといった業界特有の会計処理がありますが、こちらもCSOneのジョブを使用した原価振替処理などの標準機能により対応しています。

今後のサービス領域機能の活用

 CSOneは、受発注や在庫管理などの販売管理機能と、サービス受付や点検・修理作業管理などのサービス管理機能の両者を備えたシステムです。
 今回はCSOneの販売管理機能を中心にシステムリプレースを行いましたが、今後は設備・機器の保全計画や故障診断、またサービスマンのディスパッチ・スケジューリングなどのサービス管理機能の活用も期待されています。

プロジェクト統括メンバーからのコメント

 CSOne導入プロジェクト統括メンバーである、情報システム部 田中様、飯田様、管理部企画課 小杉様、桑原様にお話を伺いました。

CSOneを選定した理由を教えていただけますか。

 長く自社開発ソフトだったため、特定のパッケージソフトへの先入観もなく10社以上のソフトを検討しました。設備機器サポートという業務のため、通常のERPシステムだけでなくフィールドサービスに特化しているシステムもピックアップ、その中の1つがCSOneでした。
 最終的に決め手となったのは、作業報告書のDX化や保全計画による営業強化という弊社の目指す方向性とマッチしたことが大きかったです。

CSOne導入までのプロセスはスムーズでしたか。

 新基幹システム推進プロジェクトを発足し、情報システム部だけでなく業務部門からも積極的に参加してもらい要件定義を固めていきました。テスト段階になると具体的な問題があがってきましたが、開発担当者の方と1つ1つクリアにしていき、スケジュールどおりに運用を開始することができました。

CSOne導入による効果を教えていただけますか。

 旧システムからの更新に伴い業務整理ができ、システム開発に対する人材不足リスクが解消できました。
 見積書や作業報告書をシステム内で作成することで、紙とハンコの文化を一新し、大幅に紙運用を減らすことができました。また経費精算システムとのAPI連携によりシームレスな原価管理を実現することができました。
 以前まで部門ごとにExcel管理していた案件管理ですが、見積データをCSOneに集約することで一元管理が可能となり、案件管理の正確性も向上することが見込まれます。Excel特有のファイルの奪い合いや破損の心配もなくなりました(笑)。
 また、従来運用している営業日報では、報告が一方通行になりがちですが、営業やサービス員を問わず対応履歴としてシステムに残すことで、報告が一方通行で終わらずに会社組織としての共有財産とするベースが今回の更新で整ったとおもいます。

今後の展望やCSOneに対する期待を教えていただけますか。

 営業活動による訪問履歴、現場作業員による対応履歴の管理は、日々の活動から蓄積される会社の資産となります。CSOne活用によりシステム内でこれらの情報が一元管理できるようになりました。通常の対応履歴はもちろんのこと、属人化しやすい営業情報も会社全体でフィードバックできる環境を構築していきたいです。
 訪問履歴の入力徹底が今後の課題ではありますが、「いつ・だれが・なにを」を登録することで、現場サービスと営業間でのコミュニケーション強化(訪問履歴や対応履歴の相互参照)が期待できます。コンタクト履歴入力業務の効率化、コンタクト履歴や対応履歴の一覧をCSOneからCSV出力してデータ分析するなど、今後活用できたらと思っております。